2024年11月さくらのクラウド障害:何が起きたのかを学ぶ

はじめに

2024年11月16日から17日にかけて、さくらのクラウドで大規模な障害が発生しました。この記事では、この障害の詳細を技術に詳しくない方にもわかりやすく解説していきます。

なお、本記事はさくらインターネット社の障害情報で公開された障害情報をもとに作成しています。障害の詳細な原因や技術的な分析については、さくらインターネット社からの正式な発表がまだ行われていないため、記事内の考察には推測が含まれる可能性があります。

最新かつ正確な情報については、必ずさくらインターネットの公式サイト(メンテナンス・障害情報、ニュースリリース等)をご確認ください。

また、本障害の復旧にあたられたさくらインターネットの従業員の皆様におかれましては、深夜から長時間にわたる復旧作業、大変お疲れ様でした。

障害の概要

  • 発生場所:さくらのクラウド 石狩第1ゾーン
  • 発生期間:2024年11月16日23時15分から2024年11月17日16時30分(約17時間)
  • 影響範囲:45台のサーバ(sv391からsv435)

障害の時系列

第1段階:大規模障害の発生

時刻:11月16日23時15分

  • 45台のサーバで一斉に問題が発生

第2段階:ハードウェア障害の連鎖(3つの波)

この大規模障害への対応過程でさらに個別のサーバで問題が発生しました。障害発生時刻を確認するとこれらの問題は5分間隔で3つの波として発生しています。

第1波(00:01)

  • 影響を受けたサーバ:5台(sv391-395)
  • 特徴:連続した番号のサーバで同時に発生
  • 復旧状況:
    • sv394のみ約1時間で復旧
    • 他は長時間継続

第2波(00:06)

  • 影響を受けたサーバ:14台(sv402-417の範囲)
  • 最も多くのサーバが影響を受けた波
  • 復旧状況:
    • 一部のサーバ(sv406, 407, 408, 414)は2-3時間で復旧
    • 多くは長時間継続

第3波(00:11)

  • 影響を受けたサーバ:5台(sv424-428)
  • 特徴:第1波同様、連続した番号のサーバで発生
  • 復旧状況:
    • sv426が最も早く(21分)復旧
    • sv424, 425も2-3時間で復旧
    • 残りは長時間継続

復旧作業の進行

初期対応(深夜帯)

  • 01:45:復旧作業開始
  • 03:10:起動処理継続
  • 05:10:復旧作業継続

朝方の状況

  • 06:45:慎重な対応開始
    • ユーザーに対して1サーバずつの起動を要請
  • 09:00:混雑による注意喚起
    • サーバ起動の時間間隔を空けるよう要請

復旧の進捗

  • 10:30:約6割復旧
  • 12:00:約7割復旧
  • 14:00:約8割復旧
  • 15:30:9割以上復旧
  • 16:30:完全復旧

障害のパターンと特徴

1. 時間間隔の規則性

  • ハードウェア障害が正確に5分間隔で発生
  • 何らかの計画的な作業の結果である可能性が推測される

2. サーバ番号の連続性

  • 影響を受けたサーバの番号が連続している
  • 特に第1波と第3波では、完全に連続した5台のサーバで問題が発生

3. 復旧時間のばらつき

早期復旧(〜1時間):
  • sv394(58分)
  • sv426(21分)
中期復旧(1-3時間):
  • sv407(1時間41分)
  • sv408(1時間53分)
  • sv424(1時間55分)
  • sv414(2時間29分)
  • sv406(3時間16分)
  • sv425(3時間3分)
長期化:
  • 多くのサーバが長時間の復旧作業を必要とした

推測される状況

1. 初期の大規模障害

  • 電源系統やネットワーク機器の問題が考えられる
  • 広範囲に影響を与える何らかの問題

2. 復旧作業による二次的影響

  • 大規模障害からの復旧作業中に予期せぬ問題が発生
  • 5分間隔での障害発生は計画的な復旧手順に関連している可能性

3. サーバの物理的/論理的な構成

  • 連続した番号のサーバが同時に影響を受けていることから
  • 物理的に近い位置にあるサーバまたは同じ設定や構成を持つサーバグループが存在する可能性

今回の教訓

クラウドサービス利用者向け

1.バックアップの重要性

  • 定期的なバックアップ
  • 異なるゾーンへのレプリケーション検討

2.障害対策の準備

  • 障害時の対応手順の準備
  • 代替システムの検討

3.監視体制の整備

  • サービス状態の常時監視
  • 早期異常検知の仕組み

まとめ

この障害における一連の事象は、大規模システムにおける復旧作業の複雑さを示唆するものといえます。現時点で公開されている情報からは、初期の大規模障害とその後の段階的な復旧過程を確認することができます。
なお、この記事の内容は2024年11月17日時点で公開されている情報に基づいています。より詳細な原因や対策については、さくらインターネット社からの正式な発表を待つ必要があります。
最新の情報については、以下の公式サイトをご確認ください:

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